2022年

6月

04日

第23回 賢治と歩む会 2022.6.4

『毒もみのすきな署長さん』と『種山ヶ原』

 昨年11月の対面での勉強会から半年余りたって開催となりましたが、まだまだコロナの影響もあってか参加できた人少なかった… 久しぶりの勉強会で、お互いに近況報告を聞いて安堵した…

 最近、コロナ感染防止にまつわる規制緩和が進められていますが、まだまだコロナ以前のマスクなしでの日常生活には戻れないのでしょうね…

「毒もみのすきな署長さん」

 まず、劇団シナトラの原田さんに『毒もみのすきな署長さん』を朗読していただいた…流石に説得力があり、私は白内障の視力で文字を辿るよりもずーと理解が深まった…

 原田さんは小学生にも読み聞かせの授業をやっているそうです…この物語の終盤で死刑に決まってしまった署長さんは、あの世に行っても『毒もみをやりたい』と応えたが、生徒の皆さんは『あの世に行ってもやりたいことは何ですか?』と問いかけていると云う……

 朗読を終えた原田さんは『皆さんは如何でしょうか』と問いを投げかけた…

 私は子供ころの体験を話した…

 秋田の田舎の方では「あめ流し」と呼ばれいていた。ある日川で水浴びをしていた時に、突然川上の方から白い腹を上にして、口をパクパクさせながら流れてきた川魚を沢山捕まえたことあった。その時にサッテ網(たも網)を持って行けばもっと沢山捕まえられたのにと悔しい思いをしたことを覚えている。

 いっとき、やったのは『どこそこのだれだれではないか…』との噂はたつものの署長さんのように現行犯で捕まることはなかったようだ…

 私も『風の又三郎の佐太郎』と同じ4年生の頃、同級生のT君と二人だけで「毒もみ(あめ流し)」をやったことがある。やはり悪いことだという自覚はあったようで、山裾を流れる小さな沢へ出かけT君が持ってきた「毒草」を石の上で叩き草の汁を流したが、魚(カジカ)は一匹も浮いてこなかった。けれども、この時は二人だけだったので、佐太郎のように大恥をかくことはなかった。二人は黙ってお互いの顔を見ながら、その場に立って居た。暫くして、二人は沢の中に入り石を起こしてカジカが居るかどうかを確かめた。するとカジカは何時と変らず川底にへばりつくようにしていた。T君が石で叩き潰した「毒草」の汁は、大した効き目もなかったのだ。二人は「毒もみ」を諦めて、ガラスの欠片で川底を覗きながら針ヤスでカジカを突いた。人があまり入らない沢だったので大きなカジカが捕れたのを覚えている。

 私は、こんな体験談の後『あの世に行ってもやりたいことは何ですか?』と問いかけには『あの世でも好きなスキーで汗を流し、ビールでも呑みたい…』とあんちょくに応えてしまった…もう年老いて現実には足腰が弱ってきて好きなスキーも思うようには滑れなくなってきたからでしょうかね…

 皆さんは、『これまで打ち込んできたボランティア活動』だとか『旅行や読書』などと生きがいに通じるものでした…

 最後に萩原先生が、この作品の背景について解説してくださった…賢治は川口慧海の『チベット旅行記』を読んで、この物語の背景を設定したという…

 『四つのつめたい谷川が、カラコン山の氷河から出て、ごうごう白い泡あわをはいて、プハラの国にはいるのでした。』

 また、その国の第一条(法律)の

「火薬を使って鳥をとってはなりません、

 毒もみをして魚をとってはなりません。」

は明治時代に制定された『禁止条例』から引用していると、萩原先生が長年調査・研究の引き出しから引っ張りだして解説してくださった…

 どんな賢治作品でもそうでしたが、今更ながら先生の奥深い知識に感銘させられると同時に賢治についての理解を深めさせていただいております…

「種山ヶ原」  

私は「種山ヶ原」には行ったことはないが、賢治は「種山ヶ原」の物語中で

『放牧される四月よつきの間も、半分ぐらゐまでは原は霧や雲に鎖とざされます。実にこの高原の続きこそは、東の海の側からと、西の方からとの風や湿気しっきのお定まりのぶっつかり場所でしたから、雲や雨や雷や霧は、いつでももうすぐ起って来るのでした。』と紹介しイーハトーブに「種山ヶ原」の場所をイメージさせてくれる…

 そして達二が「種山ヶ原」で道に迷った時に、

『風が来ると、芒すすきの穂は細い沢山の手を一ぱいのばして、忙せはしく振って、

「あ、西さん、あ、東さん。あ西さん。あ南さん。あ、西さん。」なんて云ってゐる様でした。』とその情景を語っている…

 子供の頃、茅刈りの手伝いに行ったとき、時折風が吹いてきて、子供の背丈より高い芒があっちへこっちへと風になびく、こんな情景を見たのを思い出した…

この写真では牛が放牧されているようですが、「種山ヶ原」では馬が放牧されていたようですね…

 学生の頃、友達をつれて秋田と岩手の境にある焼石岳を越えて東成瀬に嫁いだ姉のところ行ったことがる…その時キシリングに括り付けあったピッケルを見て『焼石岳は雷の多い処なのに何もなくてよかったね~』と言われたのを覚えている…

 その焼石岳の高原は「種山ヶ原」と類似の気候だったのでしょうか、焼石岳の高原でも夏の間に牛が放牧されていて親戚の獣医(定志)さんが、通いで面倒をみていたようです…勿論、獣医さんとして…

「賢治と歩む会」の2週間ほど前に代表の瀧田さんから電話があり、「種山ヶ原」には方言が多くでてくるので東北出身の私に少し解説して欲しいとのお話があった…私も関東に出てきてからの方が、田舎で過ごしたよりも随分と長くなるけど、そのニュアンスは分かるような気がしていたが…

 でも、皆さんに紹介するのだから確認してみようと思った。そこで高校の同級生・根本俊夫さんが編集した「湯沢・雄勝弁あれこれ」で調べてみたら、「種山ヶ原」での使われ方とほぼ同じ範例があったので安堵した…

 また、大学の同期で高校の教師退職後は花巻で賢治研究を続けている鈴木守さんが送ってくれた「花巻ことば集」でも確認してみたが、湯沢・雄勝弁とほとんど同じ発音で記載されていた…

 大変役立たせていただき、両氏には感謝しております。

 この物語に登場する三つの夢のお話の中で「山男」がでてくる節では、秋田弁とは全く異なる「南部弁」があった…

 それはこんなやり取りの場面だ・・・

「どうか御免御免。何じょなことでも為さんす。」

「うん。そんだら許してやる。蟹を百疋捕って来こ。」

「ふう。蟹を百疋。それ丈(だけ)でようがすかな。」

「それがら兎を百疋捕って来こ。」

「ふう。殺して来てもようがすか。」

「うんにゃ。わがんなぃ。生ぎだのだ。」

 耳から入ってくる方言をそのまま表記すると難解になるので、賢治はこのように漢字を交えて意味が通るようにしているようにしていると思われます…

 私は盛岡でのアルバイトで家庭教師を4年間続けた…「種山ヶ原」の南部弁は、その時に接した地元の人々の言い回しだった…

 その南部弁でも普通の言い方と上品な言い回しの方言があることを知った…秋田弁でも「ジャッチャ(奥様)」と呼ばれる方々と「あば(かあちゃん)」と呼ばれる人々の話し方に違いがあるのと同様だと思った…方言にも丁寧語があるようです…

 花巻に何度も足を運んで地元の人々と会話してきた萩原先生も階層によって同じ意味合いの方言も異なってきますと付け加えてくださった

 「風の又三郎」は、前作の「風野又三郎」をもとに、村の子供たちを描いた「種山ヶ原」、「さいかち淵」をが挿話として取り入れられた作品ですと萩原先生は話し始めた…

 確かに「種山ヶ原」の登場人物も名前も異なるが、「風の又三郎」と同じような場面が出てくるので、初めての作品とは思われなかった…

 賢治は地質調査で何度も種山ヶ原を訪れており、岩石や地形などの描写は実に現実的であると萩原先生の体験談も語ってくださった…

 いつもは勉強会終了後に先生との懇親会があり、更に詳しいお話をお伺いできるのが楽しみでしたが、先生が足にお怪我をなさったとかで取り止めになってしまいました…

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2022年

5月

29日

2022年5月29日 「SPACE1497 中山英二ライブ」

 今日は、午後からSPACE1497 でジャズライブがあるので楽しみに出かけた…開場までに時間があったので、SPACE1497 近くの『妻沼道の駅 薔薇園』に立ち寄った…春薔薇はまだ見ごろで、何だか得をした感じだ…

 さて、「SPACE1497 中山英二ライブ」では、中山英二さんのベースに北沢直子さんのフルートと武田明美さんの箏とコラボして、どんなジャズを生み出してくれるのでしょうか…

「妻沼道の駅薔薇園」を覗いてから会場に到着したが、開場までには、まだ暫く時間があった…いつもは夜のライブだったので写真を撮った…

 今日のライブは、2022年3月6日に熊谷文化会館で開催された『中山英二音楽活動50周年記念コンサート』で聴いた中山英二さんのベースに北沢直子さんのフル-トと武田明美さんの箏のコラボレーションです…

 果たして、どんなジャズを生み出してくれるのか楽しみにしながら白ワインもいただきました…

2022年3月6日 熊谷文化会館

『中山英二音楽活動50周年記念コンサート』

 熊谷の『賢治と歩む会』の友人からチケットを送ってもらった…まだ肌寒い頃でしたが、自宅からはさぼど遠くない熊谷文化会館だったので、息子と自転車ででかけた…

 『中山英二音楽活動50周年』を記念して沢山のミュージシャンが共演しています…

 どんなジャズを聴かせていただけるの楽しみです…

 3月のライブでは、いろんなミュージシャンが次々と登場しバラエティに富んだジャズが繰り広げられ、まさに『中山英二音楽活動50年』の歩みを物語っていた。中山さんは、駆けつけてくれた共演者の方々を『音もだち』と呼び、音楽で繋がっている仲間たちというスタンスで活動してきた中山英二さんのお人柄が、コロナ禍にもかかわらず、これだけ多くの共演者が駆けつけたのだと思った。

 中でもインパクトがあったのは、和筝とコラボだった…これまで聴いたことがなかった音色で、これぞ『ジャパニーズ・ジャズ』ではないかと実感した… 

 

 コンサート終了後に再び会場に入り息子が、中山英二さんに50周年の2枚組ベスト盤『EVER AND EVER 』にサインをお願いした…近くで写真を撮っていた友人が中山さんに紹介してくれた…

 筝を片付けていた武田明美さんを見かけて、思わず声をかけてしまった…初めて聴いた箏を交えたジャズの感動をお伝えしようと…武田さんもにこやかに笑みを浮かべながら応えてくださいました…

絵日記 2022年5月29日 「SPACE1497 中山英二ライブ」

 中山英二さんのベースに北沢直子さんのフルートと武田明美さんの箏とコラボして、どんなジャズを生み出してくれるのでしょうか…

 この前チケットを送ってくださった友人も電話で道を訊ねながら駆けつけていました…お忙しい方なので、ライブが終わると帰られてしまいお話できなかったのは残念でした…

 アクリル板の反射で、フルートの北村さんのお顔が上手く撮れませんでしたが、緩急のつけた力強い演奏と、ときには優しく微風のように爽やかな音色が聴こえてきました。

 武田さんの演奏は、清らで澄んだ空気の中、夜明け前の朝日が登る瞬間に感じるような神聖な気持ちになりました。箏の音色がそう感じさせるのでしょうか。 中山英二さんのトークの合間に、武田さんは、調弦をしていました。

 曲が変わる度に音を合わせる必要があるそうで、中山さんはトークのときに何を話そうかと考えていたそうですが、最近はその場で思いついたことを話すようになったと、お話されていました。

まさにジャズのアドリブと同じですネ…

 武田明美さんの和筝の音色に和の横笛の音色が連想される北沢直子さんのフルートが見事に調和し爽やかな調べを奏でてくれた…

そして低音域でリズムを刻む中山英二さんのベースが響いてきて、曲のバックボーンのように安定感が出て、お二人の演奏を際立たせているように感じた…

 息子は、後日届いた武田明美さんのCD『深い海の色の』に収められていた曲毎の感想を書き送っていた…

 武田さんからのメッセージの中に

『4月に初めて宮沢賢治の「虔十公園林」というお芝居の体験をしそうです。️ 今の人間に一番欠けていて、一番大事なことは何かを教えているお話でした。』と付け加えてあった・・・

今回のようなチャンスのきっかけを作ってくれた『賢治と歩む会』の友人に感謝しております… 

 こんなに心地よさを感じさせてくれる『和風ジャズ』をもっともっと沢山の方々に聴いていただきたいと切に願っております…ありがとうございました。次のチャンスを楽しみにしております…

 

 今日のライブに感動し息子が武田さんに会場でCDを頼んでいました… 

 そして後日、郵送してくださることになった。 このCDを聴いた息子は、武田明美さんに感想をメールでお送りしていましたよ・・・

 

  CD『深い海の色の』に添えられたお手紙に、このアルバムへの想いが伝わってきました。まず最初にCDジャケットの彩り豊かで繊細なイラストに目を奪われました。

 安藤貴志さんのデザインされたジャケット、とても素敵ですね。額に入れて飾っておきたいくらいです。ライナーノーツの深い碧で、表と裏のジャケットとは雰囲気が変わって、深海にいるような気持ちになります。

 

・1曲目の『Awakening 』:武田さんのお箏にヴァイオリンとベースで今まで聴いたことのない編成で、新鮮な新緑の季節に心地よい朝の日の光を浴びているような気持ちになりました。

・2曲目の『また森へ』:ライナーノーツのイメージそのままの世界が、音として伝わってきました。目を閉じて聴いていると、しんしんと降り積もる雪の中にいるように感じました。

雪が降ると周りの音を吸収するように静かで澄んだ空気になることを思い出しました。

・4曲目の『深い海の色の』:尺八の切ない音色のメロディと箏の演奏がとても魅力的で、もう一度聴きたいと皆さんがおっしゃる気持ちが、わかります。ライブでは、尚更ですよね。

・5曲目 『彼方より』:私は、この曲が一番のお気に入りです。

尺八とお箏のアンサンブルは、今まで聴いたことがなく、とても新鮮で和楽器の素晴らしさを実感しました。まさに大作ですね。凄いです。

・6曲目『Spring Star 』:先日のライブで演奏された曲ですね。

お箏のイントロが流れた瞬間、楽しかった演奏を聴いたときの感動を再び味わうことができました。

蟹のエピソードも思い出しました。

・7曲目 『花笑み』:武田さんのお箏の音色を聴いていると、清らで澄んだ空気の中、夜明け前の朝日が登る瞬間に感じる神聖な気持ちになります。ライブの演奏でもそう思いました。

・8曲目『12月の風にのせて』:お箏のイントロ メロディに乗せて、ヴァイオリンとフルートの音色が風を運んできてくれるような、ふわふわと漂うような不思議な感覚になりました。

・9曲目『六連星』:私がイメージしているお箏の音色に、ヴァイオリンの演奏が加わり、とても新鮮でいて、どこか懐かしい子供ころお正月にテレビで聴いたお箏の演奏を思い出しました。

 

長々と書いてしまい反省しています。

父とも話していましたが、ライブに足を運んで聴いてくださる方だけでなく、もっと沢山の人にお箏の演奏の魅力を知ってほしいですね。先日のライブ演奏本当に有り難うございました。

武田明美さんのCDを送ってもらって…

 武田明美さん、こんばんは。  CD『深い海の色の』に添えられたお手紙に、このアルバムへの想いが伝わってきました。まず最初にCDジャケットの彩り豊かで繊細なイラストに目を奪われました。

 安藤貴志さんのデザインされたジャケット、とても素敵ですね。額に入れて飾っておきたいくらいです。ライナーノーツの深い碧で、表と裏のジャケットとは雰囲気が変わって、深海にいるような気持ちになります。

 『ワールドトライアングル』のライブは、熊谷さくらめいと 月のホールに両親と3人で聴いた記憶があり、その時はメンバーのアルバムは、発売前でした。

 

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2021年

11月

20日

第22回 賢治と歩む会 2021.11.20

烏の北斗七星 と 注文の多い料理店 短編集

前回の『第21回 賢治と歩む会』は2019年11月30日だったので二年振りのことになる…中国の武漢市で感染が確認された新型コロナウイルスは2020年に入って札幌市の雪まつりあたりから国内でもコロナ感染が始まり、人口の集中している首都圏や大阪府を中心に拡大して行った…『賢治と歩む会』もみんなで集まっての勉強会もできなくなり、会長の滝田さんの発案で紙上勉強会を続けてきた…

 コロナ感染は世界的なパンディミックを引き起こしてきたが、国内でも第5波まで感染拡大を繰り返した末、コロナワクチン接種が進展したせいか、ここの所やっと収束してきたので『第22回 賢治と歩む会』を開催することができた…こうして七周年を迎えることができたことを喜び合った… 

2年振り再開を喜び合い、それぞれコロナ渦での近況を報告しあった…加えて『烏の北斗七星』の感想や質問を述べた…

 最後に私の番になった…第1次緊急事態宣言がだされ『巣ごもりクッキング』をFBに掲載し始め解除まで46回続いた…その時晩酌の写真も載せたものですから記事を継続して欲しいとのリクエストがあった…そこで『気まぐれクッキング』として再開し、何度か中断もあったがこれまで200回を超えるまでステイホームしていた…

 そして10月31日に1年10ヶ月ぶりに電車に乗り多摩川を渡り『かわさきジャズ』に出かけることできたことなどの近況報告をしました…

 すると私のFBを覗いてくれていた人もいて驚きましたよ…

これまでの紙上勉強会では課題作品の読後感を投稿し『会報』として配布し、それに萩原先生がお一人お一人の感想と質問に対する評価と回答を文書でまとめてくださっていました…

 既に配布さrていた萩原先生の解説文に対しての質問が出された…

 先生は、暫く考えていらっしゃいましたが、こうした訂正文を発表されました…

 こんな雰囲気で勉強会が進んでいきました…

 

これまで『注文の多い料理店』に収録されている賢治作品を読み終えたところで萩原先生が全体のまとめをしてくださった…

1.『どんぐりと山猫』、

 早池峰山の奥の独立峰。山猫の住む山として里人は近寄らない。秋の斜光を浴びて黄金に輝くどんぐりたちに遭遇したことがあるが、賢治もこんな光景を見たに違いない… 

2.『狼森と笊森、盗森(おいのもりとざるもり、ぬすともり)』、

 狼森と笊森は確認できるが、盗森は判らない。賢治は水の出る所で縄文土器を見つけ、小岩井農場、鞍掛山の辺りを歩き回り構想を練ったようだ… 

3.『注文の多い料理店』、

 山猫が登場。解禁となり猟やって来た都会の紳士が自分たちの料理かと思っていたら、自分たちが料理されそうになっていたと云う不気味なお話。

4.『烏の北斗七星』、

 烏は不気味な鳥であるが、イーハトーブには欠かせない鳥。北斗七星をマジエル様として崇める『北斗法』は、法華経から出た妙見信仰でもある。 

5.『水仙月の四日』、

 水仙月は、二月、三月、四月か・・・フランス革命では『暦』改定し花の名前を付けているので、賢治はそれを真似たか・・・確証はないが・・・ 

6.『山男の四月』、

 人里ではオドオドしている山男が遠野物語に出てくる。科学的には捉え難い別世界に迷い込むと云う『マヨイガ伝説』にも似た話である… 

7.『かしわばやしの夜』、

 東北では柏は林をなし、冷たい風を避けて柏林で野宿すると葉音がカサカサと恐怖をそそる…そんな中で柏大王と対話する話。 

8.『月夜のでんしんばしら』、

 花巻軽便鉄道の線路わきに規則正しく立ち並ぶ木の電信柱を軍隊と捉えた物語。イーハトーブの超自然的な存在を描いている… 

9.『鹿踊りのはじまり』

物語「鹿踊りのはじまり」のテーマは広告文の「まだ剖(わか)れない大きな愛情」であり、は生きとし生きるものへの愛の賛歌だと、今は思っています。

 

 これらの作品に登場する人や動物や山々、そして木々や風景の多くはイーハトーブに実在するものであり、それらの物語を通して『イーハトーブ』を語りたかったのであろうと…

 また、賢治の発想は時折飛躍的な展開を見せるので理解し難いところもあるが、素直にその疑問を心に留めておけば、それを理解できるチャンスが訪れるから安心して、先入観なしで賢治作品を読んでほしいと話してくれなした…

 この言葉を聴いて、『そうか、読んで最初から隅々まで理解できなくてもいいんだ!』とみなさんはほっと胸をなでおろしているようであった…

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2022年

6月

04日

第23回 賢治と歩む会 2022.6.4

『毒もみのすきな署長さん』と『種山ヶ原』

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5月

29日

2022年5月29日 「SPACE1497 中山英二ライブ」

 今日は、午後からSPACE1497 でジャズライブがあるので楽しみに出かけた…開場までに時間があったので、SPACE1497 近くの『妻沼道の駅 薔薇園』に立ち寄った…春薔薇はまだ見ごろで、何だか得をした感じだ…

 さて、「SPACE1497 中山英二ライブ」では、中山英二さんのベースに北沢直子さんのフルートと武田明美さんの箏とコラボして、どんなジャズを生み出してくれるのでしょうか…

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11月

20日

第22回 賢治と歩む会 2021.11.20

烏の北斗七星 と 注文の多い料理店 短編集

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2021年

7月

02日

第25回 賢治と歩む会 会報

烏の北斗七星 感想

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3月

23日

第24回 賢治と歩む会 会報

「かしわばやしの夜」感想文の講評篇

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