朝の9時半には、和尚さんが来て読経が始まった。その読経を聴きながら、仏壇の近くの壁を見たら、兄が書いたものと思われる先祖代々の戒名が記された茶色に変色した紙が貼られていた。後でよく見ると、そこには33歳の若さでなくなった三男、そして嫁に行って亡くなった姉の戒名まで、しっかりとした楷書で丁寧に書かれていた。戒名とは仏様になってからの呼び名だそうだから、あの世へ逝ってから、家族の名前を間違えないようにと書きしるしたのであろうか・・・
私も以前に兄に書いてもらったものを持ち帰った覚えがあるが・・・今回、改めてコピーしておらい、兄の戒名を裏に追記して持ち帰った。
それから墓参り出かけたが、生憎の雨の中で兄に煙草を一服供えて帰った。それから車でお寺に行き本堂でお線香をあげ、檀家の仏様が祭らている建屋に入った。そこには檀家800件ほどの仏様の家に一軒一軒に表札が付けられ、まるでマンションのようなただ住まいであった。
このお寺の歴史は古く、地方の殿様・小野寺公の菩提寺であったと聞いている。このお寺の程近くに焼け落ちた小野寺公の山城の跡がある。子供の頃、この城跡に遠足で出かけ、炭化した焼き米を探したことを思い出した。
○代々の戒名を記せし兄は亡く 壁に古びて三回忌かな
○三回忌兄を墓参の雨の中 二十一の孫煙草たむけり
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