2011年に「鈴木良雄とBASS TALK」を目当てに、この横浜ジャズにやって来て、あちこちの会場を巡り歩きくたびてしまった覚えがある。息子は毎年参加していたが、私は久し振りに参加できることになった。
19号台風も近づいていたので心配したが秋晴れの朝、熊谷から湘南新宿ラインに乗った・・・横浜の関内まで2時間ほどかかるので、グリーン券を2枚買った。11時頃に関内駅に到着し、横浜JAZZ PORMENADE参加証のバッチと引き換えて、関内ホールへ向かった。
関内ホール横には、既に小ホールのお客が列をなしていた・・・12時開演なのに50名程が並んでいて、「ギターの増尾好秋」を聴くために最後尾に続いた・・・ただし、選択はすべて息子におまかせである。
今回はスペシャルユニットであったが、冒頭の演奏者の紹介で増尾さんが、『私は、ベースの鈴木良雄さんを尊敬している・・・』と切り出したのには驚いた。最前列に陣取って、彼が奏でる優しいギターの調べに引き込まれていった・・・
演奏が終わって、息子が彼のCDを求めサインしてもらい、『午後、鈴木良雄さんを聴きに行く。』と告げたら喜んでいた。今、その時に求めた「ギターとピアノのデュオ』のCDを聴きながらブログを書いている・・・
1時過ぎにサッポロラーメンと餃子を食べた・・・息子の「好い味だ。」と言いながら空腹を満たした・・・私は生ビールを一杯グイーと飲みほして、再び関内小ホールへ戻ったが、既に満席であった・・・
止む無く早めに「横浜市開港記念会館」に向かうことにした。道すがら鈴木さんに差し上げる酒屋を探したが見当らず、赤煉瓦造りの会館に到着してしまった。
この会場では、「KKB238」の演奏が始まったところで、既に満席状態であったが、幸い後部に2席見つけて座った・・・
誰でも、何処かで、聴いたことのあるスタンダードナンバーの心地よいジャズが3曲演奏され、メンバー紹介となった。KKB=後期高齢者バンド、238=サックス奏者3人の合計年齢がバンドネームの由来だというのだ・・・慌てて息子がバックから双眼鏡を取り出しで、かわるがわる眺めた・・・うーん、なるほど、アルトサックス・五十嵐明要、テナーサックス・杉原淳、バリトンサックス・原田忠幸 いずれも年季の入った顔立ちだが、すっくと立った演奏姿勢は、遠目には60代バリバリに映っていた。これにピアノ、ベース、ドラムスの3人を加えた蒼々たるメンバー構成である。
私が高校生の頃に、初めて”枯れ葉”を聴いたのはイブモンタンのシャンソンで、彼の長い手足が印象に残っているが、ジャズにアレンジされたサックスの”枯れ葉”に秋の深まりを感じつつ、眼を閉じて聴き入った・・・時には体を揺り動かし、ジャズの名曲に癒された。
アンコールの拍手の間に、私は次のステージのために最前列の通路にしゃがんでいたら、席を立った客のあとに運よく座ることができた。アンコール曲はスターダストであったが、アルトサックスの済んだ音色に身体がゾクゾクッと反応し、深い秋の星空が眼に浮かんできた・・・
そして「来年も生きていたら、このステージにやってくるよ。」と言い残し、客席の励ましの拍手に送られて帰っていった。来年は『KKB241』というバンド名に代わるのでありましょうか・・・
次の開演3時50分まで時間があったので、酒屋を探して外にでた。生憎オフィス街らしく酒屋など見当らず、食品販売店に入ってジャックダニエルを見つけて、贈り物のラッピングを頼んだら紙袋をリボンで結んでくれた。それを抱えて会場に戻ったらリハーサルが始まっていた・・・CHINさん(鈴木さんのニックネーム)が、最前列の私に気付いて目で挨拶してくれた・・・するとフルートの井上信平さんも目でサインを送ってくれたのだ・・・息子と私は、わくわくしながら開演を待った。
CDで何度も聴いた馴染みの曲も、ライブではその場の雰囲気でアドリブが入るので新鮮に聴こえる・・・ここがジャズの醍醐味であり、今日は、CHINさんのベースが冴えているように感じた。CHINさんの新曲”モネ”をピアニストの野力奏一がアレンジした曲が披露された・・・野力さんは絶対音感の持ち主だそうで、リハーサルの音合わせでも野力さんのOKサインをもらっていた。『魚を釣ってくると野力さんが美味しく料理してくれる。』とCHINさんが紹介していた。正に”モネ”は水面に浮かぶ水蓮が、朝日を浴びて揺らいでいるような雰囲気を醸し出していた・・・それにパーカッションの岡部洋一さんのソロも見せ場をつくる。彼はドラムマガジンの表紙を飾る程の売れっ子なのだという。
最後の演奏の後、不細工にラッピングされたバーボンをCHINさんに手渡した。大きな拍手に応えてのアンコール曲は、やはり”駒”であった・・・『私の古里、信州の御嶽山は今大変なことになっております。』とCHINさんは”駒(koma)”を紹介した・・・この曲でも信平さんのフルートに聞き惚れる。そして夕暮れの山に帰る烏が、かあ~かあ~と遠くで啼く縦笛が郷愁をさそい終演となった・・・
舞台からCHINさんが、手を差し伸べてくれた・・・すると新平さんも手を伸ばし握手してくれた。息子も握手して言葉を交わし大感激であった。
BASS TALKのライブを観たし、これで帰ろうかとも思ったが、折角だから井上信平さんのJAZZ CLUBでのライブに行ってみることにした。ライブの興奮の醒めぬまま6時を過ぎた夕闇の中、少し道に迷ってしまった。何んとか”Me gusta"にたどり着いた時には7時をまわっていた。ほぼ満席であったが、入り口で信平さんに挨拶して席に着いた。写真撮影の許可を貰いに近寄ってみたら、メンバーとセッションの打ち合わせ中だったので無断で撮らせてもらった。
バーボンのオンザロックを飲みながら聴くジャズは、格別である・・・3,40人ほどがすし詰め状態で、互いに親近感を感じながらJAZZ CLUBの雰囲気を満喫した。ジョークとアドリブで盛り上がり、ホールのライブとは一味違う・・・ファストステージが終わったら8時半を過ぎていたので、信平さんに挨拶して帰路に着いた。とうとう夕食も取らず熊谷に着いた時には11時を過ぎていた・・・コンビニでおにぎりとカップラーメンを買って帰ったが、心は満腹であった・・・
このブログを書いていたら、CHINさんから息子にメールが届いた。お礼と18日に前橋の"G Face カフェ” で行う野力さん、山本剛さんとのライブの案内であった。去年も出かけた所だし、また行って見ようかと息子と話した・・・
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