新宿 ジャズ・フェスティバル 2015

Shinjuku PIT INN 50th Anniversary

 暮れも近い27日に息子と新宿ジャズフェスティバルに出かけた。熊谷から新宿までは湘南新宿線で乗り換え無しに行けるが、会場の新宿文化センターは東新宿だったので池袋で副都心線に乗り換えることにした。ところが副都心線への乗り換え口が見つからず、思わぬところで手間取ってしまったが、東新宿で降りたら『新宿文化センター』は目と鼻の先であった。

『新宿 PIT INN』と言えば、『青羊 けもの』のライブの案内があったホールだが、その時は出かけることができなかった。今回の『新宿ジャズフェスティバル』は『新宿 PIT INN』の50周年記念であり『新宿 PIT INN』は、まさに60年代からのジャズの殿堂だったのだ。

 12時半過ぎに会場に入り、貰ったプログラムを開いたら前日の26日から名だたるジャズプレイヤーが出演していた。今日のお目当ては、何んと言っても渡辺貞夫と鈴木良雄です。

 鈴木良雄と早稲田のジャズ研で一緒がった人が秩父セメント時代のスキー仲間だったこともあり、鈴木良雄のライブで何度もお会いして面識があったし、鈴木良雄はナベサダの門下生だったのです。私のジャズの関する知識は、殆ど息子からの受け売りですが、『新宿ジャズフェスティバル』の感想を記してみます。

< 安ヵ川大樹 D-musica ラージアンサンブル >

 このバンドの奏者は比較的若いメンバーが多く、最初からテンションの高い響きであった。この中に知っているメンバーがいた。サックスの山田拓児は、鈴木良雄とジェネレーションギャップのメンバーで、前橋のライブでお会いしている。彼はバークリー音楽大学卒で正統派のプレイヤーなのです。やはり知っているメンバーがいると聞き耳を立てて聴きたくなるものです・・・

 

< ドリーム・セッション・パート2 >

 このバンドには私が知っている方は居りませんでしたが、TOKU という人のヴォーカルは素晴らしかった。スマートでハンサムな彼の声は艶っぽく、うっとりさせてくれた。また、彼がいぶし銀に見える程までに使い込んだフリュゲルフォーンの音色までが艶やかに聴こえた・・・

 

< 渋谷 毅オーケストラ with 吉田美奈子 >

 このバンドには横浜ジャズ・フェスでピンチヒッターとして登場し、偶然に聴くことができたサックスの峰厚介がいた。赤いシャツにサスペンダー、それに皮のハンチングを被り津川雅彦に似た風貌は、とてもかっこよかった。

 後半に歌手の吉田美奈子が登場した。その声量には驚くばかりで、ゴスペルを聴いているような力強さを感じた・・・

 

< スガダイロー&RON×Ⅱ オルケスタ・リブレプレイズ・デューク >

 数年前の阿佐ヶ谷のジャズフェスでスガダイローのピアノを聴いたことがある。彼の演奏は自由奔放で山下洋輔風に私には聞えた・・・

また、『鈴木良雄とベーストーク』のメンバーでパーカッションの岡部洋一が出ていた。そしてTAPダンサーのRON×Ⅱとパーカッションとの掛け合いは、みものであった・・・場内から大きな拍手が巻き起こった・・・

 

< 日野皓正クインテット+1 >

 御茶ノ水ジャズフェスに行った時に明大のホールで日野皓正のトランペットを聴いたことがある。その時はテーマ性のある楽曲で、演奏が30分以上続いたよな記憶がある。今日は黒のシーツにサングラスで、ちょっとヤンチャぽい口調での辛口のコメントも何故か心地よかった・・・

 プログラムの中に同期のある方に所縁の深いギタリストの加藤一平の名前を見つけた・・・日野皓正に才能が認められ評価されているようだとこっそり教わっていたが、プログラムでも日野皓正の次に彼が紹介されており、可愛がられている様子が伺えた・・・そんなことより日野皓正のトランペットと加藤一平のギターの掛け合いは凄かった。あの激しい日野皓正のトランペトにけしかけられても、一歩も引かない加藤一平が奏でるギターは、歯切れがよくてまるでトランペットを吹いているように私には聴こえた・・・

 そしてゲストとしてピアニストの大西順子が出演した。ところがヤンチャな日野皓正は、大西順子が演奏中のピアノ線に近くにある打楽器を乗せたりして、一人でアレンジを愉しんでいたようだ・・・

 

< ジェイ・マスターズ with 渡辺貞夫 >

  流石に『ジャズ・マスターズ』の演奏が始まると会場全体がゆったりとした心地よい雰囲気に包まれた・・・1曲目が終わり峰厚介がマイクを握ると後部座席から『コウスケ!コウスケ!』と大きな声が響いた。まるで歌舞伎でごひいきの役者が見栄を切った時の掛け声のようであった・・・

 そして渡辺貞夫が紹介され、サックスのソロが始まった・・・なんなだろうあの透き通った爽やかなサックスの響きは・・・何故か全身に鳥肌が立ち、こみ上げて来るものを感じ眼がうるんでしまいステージがぼやけて見えた・・・

 暫くこの感動を味わい、息子が手渡してくれた双眼鏡を覗くと、丁度ベースの鈴木良雄の前で恩師のナベサダがサックスを吹いていた。ライブではいつもにこやかに微笑みながら楽しそうに演奏していた鈴木良雄さんも恩師・ナベサダを前にして、少し緊張した面持ちで表情が硬かったのが印象的でした。

『ジャズ・マスターズ』が最後ステージだったのでアンコールが叶えられた。

そこには日野皓正やTOKU なども加わわり、最高の盛り上がりを見せてくれた。私は熊谷からぶら下げてきたバーボンを持ってステージに駆け寄り、鈴木良雄さんに愛称の『Chinさん!Chinさん!』と呼びかけたが、中々気づいてもらえなかった。私はステージの下を上手の方に移動して、やっとボトルを手渡して握手した時にやっと笑顔を見せてくれた。やはり恩師ナベサダとの共演に緊張していたように思えた・・・

 大晦日の今日、鈴木良雄さんから息子にメールが入り、プレゼントのお礼と3月19日に熊谷でライブをやると知らせてくれた。息子は初めて聴いた『ラウンド・ミッドナイト』がジャズを好きになったきっかけだ言っていたが、早速この曲を鈴木良雄さんのトリオで是非聴きたいとリクウェストのメールを送っていた。私も熊谷でのライブを楽しみに待つことにしようと思いつつ、このブログを書き終えた。