藤陸雅裕 カルテット at 新宿ピットイン

 2015年12月27日「新宿ピットイン50周年記念」のライブに参加したことがある。50年もの歴史を持つライブハウスだけあって、日本ジャズ界のレジェンドたちが次々と登場し、6時間もジャズに浸った。

 中でも渡辺貞夫の登場で会場の雰囲気が絶好調に達した・・・以来、いつか新宿ピットインに行ってみたいと思っていた。

 私は年中連休だが、息子がGWの最終日に誘ってくれたので「新宿ピットイン」に出かけた・・・

 ところが、またもやスマホのナビゲーションに引き回されてしまった。大分遠回りしたようだが、何とか伊勢丹新宿の裏側の通りに位置する「新宿ピットイン」に辿り着いた。

 それでも一番乗りであったが、暫くするとナップサックを背負った若者がやってきた。こんなに若い人にもジャズ好きが、居るのかと少し驚いた。入り口には、昼の部のプログラムが掲げてあり、お目当ての「籐陸雅裕(ふじおか まさひろ)カルテット」とあったので一安心した。

 広い階段を地下に降りると、そこにはレンタル・スタジオともう一軒のジャズ系ライブハウスがあった。

まだ開場前の「新宿ピットイン」の前の椅子に座って待っていたら、係員の方が出て来たのでお手洗いをお借りしたいと中に入れてもらった。会場は、ステージに向かって整然と椅子が並べられ、およそ5から60席ほどでジャスのライブハウスとしては大きな空間であった・・・流石「新宿ピットイン」、中々好い雰囲気だなあと思いながら開場をまった。

 藤陵雅裕(アルトサックス、ソプラノサックス)を中心としたメンバーは、福田重男(ピアノ)、高瀬裕(ベース)、安藤正則(ドラム)のカルテットでだ。

 藤陸雅裕は、昔Yoshio Suzuki EAST BOUNCEのメンバーとしても活躍していたようだ・・・

これも息子からの入れ知恵ですが・・・

 これが待望の初リーダーアルバムで、自身のオリジナルから、ジャズ・スタンダード、ソウルの名曲までを、気心の知れたレギュラー・カルテットによる息のあった演奏で聴かせてくれる。

 藤陸さんは、皆さんにお馴染みのスタンダードを自分たちで解釈し、一度バラバラにしてから組み立て直して演奏することをコンセプトにいていると語った。

そして演奏したのが、サックスの巨人ソニー・ロリンズの代表作「St.THOMAS」であった・・・確かにおっしゃる通りで、耳に馴染んだフレースが聴きとれた時には、何故か妙な懐かしさと安堵感が湧いてきた。演奏を終えて、これだけバラバラにするとソニーロリンズに叱られるかもしれないなあと呟いた・・・

 前半はスタンダードが中心で、みんなを楽しい気分にさせてくれた。最前列に座っていたので話しかけるとCDのサインに応じてくれた。息子がネットで買い集めたCDを出すと、懐かしいなと言いながらジャケットを手に取り、丁寧にサインしてくれた。 

 後半のステージはオリジナル曲が中心であったが、とても心地良かった・・・中でも「DEAR MY FRIEND」を聴いていると、既に西国へ旅たった三人の朋友のことが思い出されてくるのは不思議だった。ビールを呑んだせいもあろうが、ホロリさせらてしまった・・・

 また、藤陸さんのメンバー紹介は、それぞれの裏話を交えた楽しいもであった。

 パアノの福田重男さんは、車に凝っていて愛車が故障してはよくライブに遅刻したそうで、一曲目はピアノなしの曲を選んでいたとか・・・でも、福田さんは「今日は10分前にきたよ」とお店の人に話してた。

 ベースの高瀬裕さんは、メタボに悩んでいたがトレーニングを重ねフルマラソンを完走し、その記録(3時間半)を更新中とのことで、確かに日焼けしてしまった体形であった。

 ドラムの安藤正則さんは、ジムで筋トレ中とのことでガッシリした体つきであった。少し強面に見えるが、根はやさしい人であった・・・

これでメンバーの顔を名前が覚えられ、親しみが感じられるようになった。シャイな息子もCDへのサインをお願いしながら話かけていた。

 ドラムスの安藤正則さんとは、熊谷スペース1497でのライブ参加の約束までしていたようだ・・・ただ、平日での仕事都合で行けそうもないと、後日嘆いていた・・・

 こうして長い連休の最終日を締めくくった。