Do Jazz Senzoku! 2017.6.17

 溝の口でジャズライブがあると言うので出かけた。溝の口という地名は、秩父セメント系の生コン工場があったので、会社に入った頃から知っていただが、この度初めてやって来た。昔々、南武線の小杉に兄が住んでいた頃にやって来たことがある。こげ茶色の旧式車両は田園の中を走り、擦り減った板張りの床であったことが懐かしく思い出された。その頃の南武線の駅舎は、秋田のそれと大して変わりなかった・・・そんなイメージで溝の口にやって来たのだが、再開発された駅前広場に目を見張った。田園都市線とJR南武線の駅は高架橋で結ばれ立体化された駅前広場は、初めて訪れた人にとってはまるで迷路のようであった。

 暫く歩き回ったが、諦めてタクシーに乗って会場に向かった・・・

 <洗足学園音楽大学の構内>
 <洗足学園音楽大学の構内>

 タクシーは一方通行の細い路地を通り抜け幹線道路を暫く走り、会場のある洗足学園音楽大学に着いた。

 本大学は、大正12年に創立者 前田若尾の自宅2階を私塾として開放したことに端を発するという長い歴史を持つそうだが、このキャンバスは、斬新で近代的な建物と竹林が妙にバランスのとれた雰囲気であった。

    <前田ホールの表札>
    <前田ホールの表札>

 教育の理想を深く思慮し、そしてキリスト教を厚く信仰し、賛美歌を愛唱した前田若尾先生は、迷うことなく「洗足」と命名されたという。おそらく創立者の前田若尾氏を記念して建設されたと思われる会場の『洗足学園 前田ホール』に向かって歩いた。竹林の笹の葉を揺らした風は涼しく、中庭には多くなお花畑があった。

    <広いお花畑>
    <広いお花畑>

 ジャズライブは、たいてい街の雑踏の中にある小さなジャズカフェなどが多かったが、こんな静かな学園の中のホールで聴くのは初めての体験である・・・

 ただ、私にとって困ったことは、学園全体が禁煙エリアとなっており、喫煙するためには学園の門を出て、その場所を探し廻る必要があった。お陰で本数が減った・・・

    <前田ホールの入口>
    <前田ホールの入口>

 16:30の会場であったことが、16時前に10名程の人が何となく並んでいた。今日のコンサートは学園主催のためかチケットは当日販売だけで料金は1,000円と格安であった。  このイベントは14年も続いているとのことで常連さんと目ぼしき方々が、次々とやって来た。夕刻とは言え今日は日射しが強く、係の人がロビーで待つように誘導してくれた。

  <ホールのステージと客席>
  <ホールのステージと客席>

 会場時刻が近ずくと、観客がつづら折りをなして広いロビーいっぱいになった。特に高校生が手に楽器のケースを抱えて団体で並んでいたのは、ジャズライブにしては珍しい光景に写った。後で司会の方のお話て知ったのですが、洗足学園音楽大学への受験を促すイベントでもあったのだ・・・ともかく、この広い会場がほぼ満席状態で開演を待った。

<  PROGAM >

Part l 

1.ルビー・マイ・ディアRuby,My Dear                    作曲:セロニアス・モンク

2.オフ・マイナー Off Minor                                  作曲:セロニアス・モンク

演奏 片倉真由子トリオ

・ピアノ片倉真由子  ・ベース:佐藤“ハヂ恭彦  ・ドラム:國原大力        

3.ネイマ Naima                                                       作曲:ジョン・コルトレーン

4.セントラル・パーク・ウェスト Central Park West  作曲:ジョン・Jレトレーン     

5.ミスター・ピー・トウー Mr.P2 作曲:佐藤達哉

演奏 佐藤達哉&川嶋哲郎2テナー・クインテット     

・テナーサックス:佐藤達哉、川嶋哲郎 ・ピアノ:佐藤浩一 

・ベース:藤原清登 ・ドラム:松山修

~休憩~

Part 2      

1.モーメンツ・ノーティス Moment’s Notice     作曲:ジョン・コルトレーン   

2.シーダズ・ソング・フルートSyeeda’s Son9Flute   作曲:ジョン・コルトレーン      3.ラウンド゜ミッドナイト ’Round Midnight                   作曲:セロニアス・モンク         4.エピストロフィー Epistrophy                            作曲:セロニアス・モンク

演奏 青柳誠スペシャル・ユニット

・ピアノ:青柳誠 ・トランペット:石川広行 ・トロンボーン:村田陽一

・アルトサックス:多田誠司・ギター:道下和彦・ベース:岡田治郎・ドラム:大坂昌彦    

司会:中川ヨウ  小嶋貴文 

 流石に音楽大学が主催するジャズコンサートだけあって本日のテーマは「セロニアス・モンクとジョン・コルトレーン」であった。

 いずれもジャズ界では高名な人で、私でもその名前は知っていたし、そのプレイをCDで聴いたことがある。また、司会の中川ヨウさんはジャズのラジオ番組を担当しているそうだが、洗足学園音楽大学のジャズコース教授である。司会の小嶋貴文氏も洗足学園音楽大学部長でジャズコースと声楽コースの責任者でもあった。

 更にプレイヤーも本大学の卒業者や指導者の方が多く、クオリティーの高い演奏でたったと思うが、反面ジャズ特有の自由な演奏スタイルではなかったのかもしれない・・・少し生意気なコメントですね・・・

 しかし、モンクとコルトレーンのスタンダード曲の素晴らしい演奏を堪能できて幸せな一日であった。中でも大好きなモンクの「ラウンド・ミッドナイト」には泣かされた・・・本学卒業の石川広行さんのトランペットは格別であった。すすり泣くような音色から、張りのあるトランペットの響きまでが心に沁み通った。最前列で観ていたので彼の指の動きまで残像として残った。

今日は少し遠方まで出かけてきたが、息子も私も好きなジャズライブを聴くことができ、大満足の一日となった。また来年もこのイベント「Do Jazz」に参加したものだ・・・ 

 こんなに素晴らしい環境のなかで、存分に音楽の才能を磨き、そして多くのフアンを魅了して頂きたいものだと思った。

 あの「ジュピター」を歌っている平原綾香さんも、洗足学園音楽大学ジャズコースサックス専攻であったことを初めて知った・・・