数日前にSPACE1497のママさんから、息子にショートメールが入った…7日Chinさんのライブがありますよと…前回のバイソンさんのライブに行った時に7日のChinさんのライブの予約をしてあったのですが、こちらから確認の電話をしてなかったのでママが心配してくれたようである。鈴木&山本のデュオで熊谷のDJANGOに来てくれたことがあった。お二人の「阿吽の呼吸」で繰り広げられるライブは久しぶりに楽しみだ…
当日の午後に二人へのお土産を仕入れ、夕刻まで一休みのつもりが二人ともうたた寝してしまった…私は、昼食の味噌ラーメン専門店でのラーメン・ライスでまだ満腹状態だった…息子にはカレーにブロッコリーを入れて夕食を作ったら、美味い美味いと言って食べた…
息子が開場時間を電話で確かめてから出かけたが、18時過ぎに着いてみると鈴木さんと山本さんがテーブルにスマホを見比べながら打合せをしていた…この先のスケジュール調整でもしている様子に見えた…もはや、スケジュール管理はスマホの時代かと思った…
ママさんに入って来るように促されたが、私は少し遠慮して外で一服した。
それから会場に入ったのだが、私に気付いた鈴木さんが立ち上がってきて、ニッコリ笑って握手しがら挨拶を交わした…早稲田のジャズ研で同期だったS先輩のことを話すと「あいつ、さっぱり出て来ない…」と苦笑いを浮かべながら話していた…今度、S先輩に伝えておかねばと思った。
息子は例によって、買い求めたCDを取り出し鈴木さんにサインをお願いしていた…
鈴木さんもそのCDにまつわるジャズ・ミュージシャンの話をしてくれていた…私は、あまり詳しいことは知らないが、秋吉敏子さんの話とかアメリカのライブに招かれ、その時に世話をしてくれたジャズマンの話とか…
とにかく、笑みを浮かべ懐かしそうに語る鈴木さんを眺めていた。
山本さんの電話が終わったのでご挨拶させてもらった…お二人ともまだ夕食前だったらしく、ママさんにカツカレーを頼んでいた…
山本さんがご飯少なめと言っていたが、私には直ぐその訳が解った…カツカレーが二階の控室に運ばれると、間もなく山本さんが降りて来て、ママに焼酎の水割りを頼んでいた。
ママも即階段下の倉庫から、箱入りの焼酎を取り出して山本さんと何やら話してから、グラスに注いでいた…山本さんもママとは長い付き合いらしく、我儘が効く様子だ…
このやり取りを見ていた息子が「山本さんのピアノは、ジャッキーチェーンの酔拳のようなものだから…」と苦笑していた。
たしかに山本さんのピアノは、お酒が進む程に滑らかに、艶やかな音色に感じられる…
このことはライブを聴いて実感していただくしかなく、説明し難いことだ…
それからほどなく、山本さんが2杯目を求めて降りて来た…
1stステージが始まるとチンさんが「ピアノ、ゴウ・サンポン」と紹介し、山本剛さんほどチャイナ服が似合う人はいないと切りだし、台湾で現地の人から道を尋ねられたという逸話を聞かせてくれると、山本さんはピアノの横に置いたグラスを上げて応えていた…
セットリストを息子がメールで送ってくれたので、ご紹介する。
1. ゲーム・ボーイ(作曲:鈴木良雄)
・ゲームばかりしてる息子を見て出来た曲
2.キスは風にのって(作曲:鈴木良雄)
・山本剛のピアノが素晴らしい…
この曲では、山本さんのやるせない、
切ないようなピアノにメロディーに応える
かのように包容力を感じさせるチンさんの
ベースの唸るような響きが心を癒してくれるのです…
(『My Dear Pianists~チンさんと6人のピアニスト~』に収録)
3.イパネマの娘(印旛沼の娘?と紹介…)
・フォー・ビートでアレンジ
4.モナリザ(ナット・キング・コールで有名)
・ベースのアルコ 弓弾きのイントロは、聴かせてくれる…
私も若い頃にこの曲をよく聴いていたので、ナット・キング・コールのCD
を見つけて買い求めた…このCDの録音は素晴らしくよく、彼の甘い歌声を
充分に楽しみながら懐かしく聴いた。息子にも聴かせてあげた…
5.バット・ノット・フォー・ミー(ガーシュウィン作曲)
・チェット・ベーカーの歌とトランペットで大ヒットした曲
私はバーボンのオンザロックのグラスを傾けながら鈴木さんと山本さんのデュオに聴き入った…最近の世の中の動きの報道にイラツキを感じながら過ごしておりましたが、今晩、鈴木さんが奏でるベースを聴いていると何だかゆったりした気分に浸ることができ、優しい気持ちになれるのは鈴木さんの人間性みたいなものがベースの弦の響きを通して伝わって来るからなのでしょうか…
1stステージが終わったので、早速に鈴木さんの元へ行きお礼を述べた…
それから、最近イライラしていたが、鈴木さんのベースを聴いて穏やかで優しい気持ちになれましたと感想を話すと、「小南さん、イライラしてはいけません…もうお互いに齢なんですから…」と慰めてもらった…
息子がチンさんのために選んだ、綺麗に包装してもらったワインを手渡すと大層喜んでくれた…チンさんはワインがお好きなのかも知れないと思った…
私は、山本さんに特選になった「久寿」という焼酎を「山本さんのガソリンです。」と言いながら手渡すと、これまた喜んで「お互いにお酒つよし」と言いながら握手してを交した…今日の山本さんは乗り乗りの感じで、後半のピアノが楽しみだ…
いつかGoogleに山本剛さんと私に写真が掲載されていたのを思い出し、息子に検索してもらった。Googleで「バイソン片山 山本剛」と「鈴木良雄 増尾好秋」のキーワードにして検索したら、画像表示でSPACE1497でのライブとG Face Cafeのブログで掲載した私の写真が沢山でてきたので驚いた…勿論、予めブログに掲載することの了承をいただいた女性の方だったのでほっとした。更に写真の下に表示されているURLをクリックすると私のブログにリンクしてくれた…少し嬉しくなって山本さんにその二人の写真を見てもらった…そしてママさんにここの写真がGoogleに沢山載っていることを少し自慢げに話した…
2ndステージは、リクエストに応えてと言って鈴木さんのベースソロからスタートした…隣の息子にお前かと聞くと黙って頷いて応えた…
6.ウィングス Wings (ベース・ソロ)
・リクエスト曲(チンさん作曲) 26~7
歳の頃に書いた曲で『Generation Gap Yoshio Suzuki』の最後に
収録されいて、一番長い間演奏して来た曲である…
7.ジェントル・ブルース (作曲: 山本剛)
・同名アルバムに収録
8.ポインシアナ(キューバ産のスタ ンダード曲 )
・南国の赤い花の名前から(山本剛のアルバムに収録 )
9.オール・オブ・ミー (ベース・ソロ〜ピアノ・デュオ)
・『わたしの全てをあげる』という意味です。とチンさんのコメント
ベース・ソロの一番の見せ場で、心地よい音色が心に沁みてくる
(バーバーバー30周年記念アルバム『Bay,Bricks&Bridge』に収録)
10.ベサメムーチョ〜ミスティ (ピアノ・ソロ)
・山本剛の十八番の曲Mistyの前に『べサメムーチョは、ママに捧げます』
とコメントしてから演奏を始めた…これがまた切ないピアノの調べが絶品
である。
11.ザ・ブルース・フォー・バーバーバー (作曲: 山本剛)
・横浜ジャズライブレストラン「バーバーバー30周年記念アルバム」の曲
これらは、山本さん特有のジャズの世界観が表現されており、まるで
ジャズで日本の演歌を歌い上げているように私には感じられた…
12.ザ・モーメント (作曲:鈴木良雄)
・アンコール曲(『My Dear Pianists~チンさんと6人のピアニスト~』
に収録) …これもまた好い曲です。この曲名にあるように自分と演奏し
てくれるピアニストを讃えるような気持ちが込められているように思え
る…短い曲ではあるが、この曲を聴きながら床に就くと、きっと穏やか
な気持ちで眠りに就くことができること請け合いです…
後半のステージは、まさに絶好調でチンさんのベースソロに山本さんはアドリブでピアノの弦でベースの真似弾きをやってくれた…
これがまた上手い具合に調和のとれたジャズになってしまうのだから不思議だ…
終演後、暫くチンさんとお話ができた…
今日はチンさんのベースソロの生音を聴くことができたと話すと、そのために一番上等なベースを持ち込んだと語った。アンプを噛ますときは、異なるベースを使うそうで、6月には浦和のカフェ・トーンでベース・ソロのライブを依頼されており、そこのマスターが音にうるさい人なのでと着け加えた…そして最後に「山ちゃんとは一番息が合うので、やってても気持ちが好いよ…」と笑みを浮かべ、満足そうに話した。
それから鈴木良雄さんの著書「人生が変わる 55のジャズ名盤入門」を一冊買い求め、最近ジャズを聴くようになったという友人の名前入りサインをしてもらった…この本を読んでジャズ好きの友だち増えたらと願っている。
帰りがけに山本さんに挨拶をしたら、こんなことになってしまった…
お客さんは、みんな帰った後であったが、「ダブルつよしだ!」と言ってハグしてくれたが、それを見ていたママさんがクスッと笑っていた…おそらく山本さんも今日のライブに満足してのことでしょうが、ただ、残念なのは、こんなジャズ界のレジェンドであるお二人の演奏を聴く人が少なかったことだ…
私はママさんにSNSを使ってもっと発信したらと持ち掛けた。SPACE1497のブログをつくるなら、お手伝いをしますよと伝えて帰路についた…
息子もリクエスト曲のチンさんのベース・ソロを真近で、しかも生音を聴くことができたことに少し興奮気味のハンドルさばきであった…
コメントをお書きください