ROBERTO FONSECA
7月の末頃だったか、息子が敬老の日のプレゼントに「ブルーノート東京」のライブに招待してやろうかと言い出した・・・
暫くして息子が電話でコンタクトを取っていたが、敬老の人のミュージック・チャージは無料らしいと言った。そこで最近ジャズを聴くようになったという高校時代のマドンナを誘ってみた。予定を調整してみるとの返事だったが、ほどなく予定変更ができたので是非行ってみたいと言ってきた。
すると、息子が「マドンナって美人なの?」と聞いてきたので「昔はな・」と言いながら、遥か昔のことを思い出した。息子が、2名から3名への変更が出来たというので、ブルーノート東京の予約がとれたことを伝える時に、うっかり息子との会話まで話してしまった。マドンナはすかさず「精一杯お化粧して行きますよ」と切り返してきたので「元が良いから大丈夫だよ」と慌ててリカバリーする羽目になってしまった・・・まさに口は厄の元ですね。
9月18日当日は地下鉄表参道駅で15:30頃に待ち合わせた。前回はスマホナビでも結構戸惑ったし、当日は暑い午後でしたのでタクシーを捕まえた。着いてみると会場の16時までには少し間があったが、扉が開いたので中に入った。まず息子の後に続いて受付の列に並んだ。敬老の年齢証明書の提示が求められると聞かされていたが、どうも目視確認で済んだようようである。
まあ、年相応に見えるとということだが、何だか寂しい気もした・・・
地下のロビーのソフアは既に塞がっていて立って待つしかなかった。
予約の整理番号に従って案内が始まり、更に地下にある会場へと進んだ。ステージ中央の中々好い席が確保できた。開演まで1時間ほどあるので、食べるものを頼んだ・・・
マドンナが選んでくれたメニューは、~パスタ、ピザ、生ハム、サラダだった。私は、生ビール2、ジンジャエール1を頼んだ。
これらのお値段はそこそであったが、中々美味しく、取り皿に分けて食べたがボリュームも十分であった・・・
私がお手洗いと一服している間に、息子は私の高校時代のことをマドンナに尋ねたらしいが、どんなことを話したのか私には不明である。戻って来た私は、ビールも残り少なくなったので、開演前にグラスワイン赤2を頼んだ。
< 1st ステージのセットリスト >
1.CONSUMATUM EST (OYA)
2.SAGRADO CORAZÓN
3.ABAKUA
4.BESAME MUCHO
5.CUBANO CHANT
6.AFRO MAMBO
ロベルト・フォンセカ(ピアノ)
ラムセス・ロドリゲス(ドラムス)
ジャンディ・マルティネス(ベース)
アデル・ゴンザレス(パーカッション)
丸ごとキューバ・ジャズを繰り出すロベルト
・フォンセカ クインテッドのメンバー
息子は聴き込んでいたようだが、フォンセカのピアノを初めて聴いて衝撃を受けた。
開幕と同時に始まったソロ演奏で観客をグイット掴んでしまった・・・そして演奏中に発せられる唸るような叫び声までが、その演奏に調和していて、まるで一つの楽器が共演しているかのように私には聴こえた。
マルティネスのエレクトリック・ベースも良かった・・
でも、私はウッドベースの音の響きの方が好かった。取り分け彼が弓で奏でる低音の響きが好かった・・・
更に、マルティネスのボイスも魅力的でコーラスも好かったが、ソロのボーカリストとしても十分聴かせてくれた・・・
ドラムのラムセス・ロドリゲスもキューバ出身で、ソロの時など彼独特のキューバのリズムを感じた。これがアップテンポなキューバ・ジャズの支えなのであろうか・・・
ロドリゲスのソロのドラミングの迫力は圧巻で、満員の客席がその興奮の渦に巻き込まれ、どよめきが起こった。
キューバ出身のアデル・ゴンザレスには生まれながらにソウルな魂がリズムに活きづいているのでしょうか・・・
彼がステージ中央に出てきてソロで叩いた時は、その音もさることながら、舞っているようなステップを踏みながらのパフォーマンスは、観客の目を釘付けにしてしまった。
私は、どちらかと言えば、煙草でもくゆらせバーボンのグラスを傾けながら聴くような、スローテンポのブルース系のジャズが好きだ・・・
でも、今回のライブで弾むようなテンポのキューバジャズを聴いて、気分が浮き立つのを押さえることができなかった。気分がブルーな時など、こんなジャズを聴くのも好いかもしれないと思い始めていた・・・
演奏が終わって観客は立ち上がり、拍手が中々なり止まなかった。しかし、次のステージもあり、アンコールには応えてもらえなかった。
仕方なく長い会計待ちの列に並んだ。私がやっと会計レジに辿り着いた時、息子がやって来て肩を叩いた。息子が会計を済ませたと言うので「敬老の日」の好意に甘えさせてもらった。
息子はロベルト・フォンセカのニューアルバムの入手し、彼のサインをもらいに行っていたらしい・・・そのCDをマドンナと私にプレゼントしてくれた。
外に出た時は19時近かったでしょうか、もう暗くなっていた・・・
表参道駅の近くの喫茶店で一休みしてお別れした。今日は東京駅へ出て新幹線で帰った。息子はマドンナから貰ったお土産を広げ、驚いていた。それは高級チョコレートだったらしく、私にも一粒分けてくれたが、確かに濃厚なチョコの味がした。息子はそれを冷蔵庫に仕舞いこみ、大事そうに食べている・・・
そしてある晩「僕も高校は共学がよかったなあ」と息子が呟いた。確かに彼の通った高校はバンカラ校として名高い熊高で女子高との交流も殆どなかったようだ。そうなると、私は共学の高校で青春時代を過ごせて良かっただろうと思えてきた・・・それから暫くしてマドンナからメールが届いた。
『あっという間に秋ですね。暫く夏休みして、昨日から仕事に。先日晴俊さんから頂いたCD毎日聴いてますよ。素敵な音色とリズムは心の憂さを忘れさせますね。改めて感謝、宜しくお礼をお伝え下さい。』
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